ヒトラーの毒見役 (Le assaggiatrici)

2026/07/04

【イタリア映画】 Alma Hasun Elisa Schlott Max Riemelt

ネタばれあり!!!


【あらすじ】 1943年、第2次世界大戦末期。RosaElisa Schlott)はベルリンの爆撃を逃れ、ポーランドの田舎町で戦地にいる夫の帰りを待っていた。その場所は、Hitlerが総統大本営を置いていた「狼の巣」と呼ばれる森の近くだった。
 ある日Rosaは、Hitlerが食事する前に毒見をする任務を命じられ、他の若い女性たちとともに、親衛隊による監視のもと、銃を突きつけられながら、食事をすることになる。彼女たちはHitlerのために用意された最高級の料理を、死と隣り合わせの最悪な状況で試食する、という苦悩に満ちた日々を過ごす。
 そして19447月、総統大本営でHitler暗殺を狙うクーデターが勃発。戦局が混迷を極める中、彼女たちの運命は…。Margot Wölkの証言に着想を得た、Rosella Postorinoの同名小説をもとに映画化。(作品の詳細




お腹を空かせた若い女性たちの目の前には、見たこともないご馳走が並んでいる。その料理には、毒が入っているかもしれないのだ。しかしこれを完食せねばならない。食べ物への貪欲な魅力よりも、命懸けの任務と死への恐怖から、食べることを嫌悪したり拒否したりし始める。凄まじい拷問、地獄です。
 

話は違いますが、昭和時代によくあった、給食を全部食べるまで昼休みなしや居残り給食も、拷問そのものだと思う。どうしてあんなに強要したのか?全く分からない。あの頃完食は、絶対的な正義だったのかしらん?


さて本題に戻ると…、毒見役に選ばれたのは女性ばかりだから、あちこちで対立したり、小さなグループができるが、同時に強い連帯感も生まれる。ベルリン出身の
Rosa、前線に召集された新婚の夫の両親とともに、この町に避難してきた。だからある者にとって、Rosaはよそ者の部外者で、煙たい存在だった。Rosaはそれを肌で感じつつも、あることをきっかけに、ElfriedeAlma Hasun)と友情を育んでいきます。 


出演者全員の演技が素晴らしく、微妙なニュアンスのグレーやブルーの色調による美しい映像、サウンドトラックが印象的でした。戦争のシーンは全く出てこないが、始終、毛穴が開くような怖さを孕み、彼女たちから目が離せない。
 



そしてSS将校(Max Riemelt)とRosaのロマンス。将校の目に留まったRosaは、彼の要求・欲求を拒否することができない。絶対服従の関係だからだ。けれど生と死が隣りあわせの中で、将校との肉体的な接触は、生きていることを実感したい、というRosaの欲求もあったに違いありません。

2人の間に純粋な愛はなかったが、Rosaの存在は将校の気持ち和らげ、人間が持っている善意の心を引き出した。彼はRosaを救うことを決意し、彼女をベルリン行きの列車に放り込む。せめてもの救いでした。たぶんRosaは、運がよかったのだ。 


Rosa
がモデルとなったMargotWölkは、戦後ドイツに戻ったが、Hitlerに協力していたことを世間に知られると、迫害されることを恐れ、約67年間その過去を、誰にも語らなかった。

2012年、当時95歳だった彼女が、英紙などのインタビューで、「私はHitlerの毒見役を、2年半務めていた」と、初めて衝撃の事実を告白する。彼女以外の毒見役の女性たちは、終戦時にソ連軍によって、全員射殺された。

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