華麗なる一族 1974年の映画

2026/06/20

【日本映画】 佐分利信 仲代達矢 田宮二郎

ネタばれあり!!!


【あらすじ】 阪神銀行の頭取・万俵大介(佐分利信)、妻の寧子(月丘夢路)、家庭教師兼執事の高須相子(京マチ子)、長男鉄平(仲代達矢)と妻早苗(山本陽子)、次男銀平(目黒祐樹)と妻(中山麻里)、長女一子(香川京子)と大蔵省主計局・次長の夫(田宮二郎)、次女二子(酒井和歌子)。子息を次々と政財界の大物と結婚させて、万俵一族は勢力を広げていた。そうした工作は、華族出身の世間知らずな寧子ではなく、永らく家庭教師兼執事を務める、高須相子の手腕によるものだった。
 長男の鉄平は、万俵財閥の一翼をになう阪神特殊鋼の専務で、自社に高炉を建設し、阪神特殊鋼の飛躍的発展を目論んでいる。大同銀行・三雲頭取(二谷英明)の計らいと、妻の父で自由党の大川一郎(河村弘二)の口ききにより、ようやく念願の高炉建設にとりかかる。しかし完成を間近に、突然高炉が爆発。死傷者多数という大惨事が勃発した。山崎豊子の同名小説をもとに、映画化。

 


田宮二郎の1人祭り。現在のように銀行が実質倒産したり、大手銀行が合併してメガバンク数行になるなど、当時は誰も予想すらしなかったのに、山崎豊子女史はその後の金融業界の劇的な変化を、言い当てていたことになりますね。
 



万俵財閥や政界・金融業界の話はひとまず横に置いといて、気になった出演者について書こうと思います。とにかく役者の層が厚い!銀行や企業側や政界関係に、曲者が勢揃いしております。

阪神銀行の頭取を演じる佐分利信は、演技力がどうのというより、圧倒的な存在感があり、大物の風格が備わっている。長男・鉄平役の仲代達矢の重厚な演技も、安定と安心感がありました。 




田宮二郎が演じる大蔵省の官僚は、クールで理知的だが冷酷で手段を択ばない。『白い巨塔』の闇の部分を背負った、財前五郎に通じる。メガネの田宮も素敵💕 ちょっとした表情や仕草が、Kevin SpaceyAlain Delonを彷彿させます
 


豊満な肉体にまとったドレス姿の京マチ子が、華やかで肉感的で魅力的な表の顔と、したたかでふてぶてしい悪女ぶりをみせてくれた。 

車中で田宮が京マチ子に、「僕たちのような野良猫は、温かいベッドよりも、泥まみれになって、獲物をあさっている方がお似合いなんですよ」と言い放つ。ゼロから這い上がってきた美馬(田宮)が、冷徹な相子(マチ子)と自分の境遇を重ねて、万俵家のようなサラブレッドではなく、野良猫であることを不敵に言い表した名場面です。 

大同銀行専務役の西村晃、せかせかと鰻重のご飯をかきこみ、新幹線の車中では、バナナをビールで流し込む。品性のない貧乏くさいオヤジだが、狡猾で抜け目のない役員を好演。

そして、小沢栄太郎。悪役と言ったら、小沢栄太郎。大河ドラマ『元禄太平記』(1975年)で、端正な顔立ちの片岡孝夫(現・十五代目片岡仁左衛門)演じる浅野内匠頭を、ねちねちと苛め抜いた吉良上野介が、今でも忘れられない。あまりにも憎たらしくて、はらわた煮えくり返った。 

『新・平家物語』(1972年)で藤原信西を演じた際には、「あの坊主を、早く退場させろ!」と、視聴者から助命嘆願ならぬ、殺害嘆願が多数届いたそうな。今回の大蔵大臣役も、冷静で計算高く、組織の論理に従って動く狡猾な男だ。地位を守ろうとする執着や、組織の中で生き残るためなら、裏切ることも欺くこともためらわない。 

悪役ばかりやらされて、嫌にならないのかなと勝手に心配していたが、「視聴者に嫌われてこそ、悪役冥利に尽きる」とインタビューに答えていた。「正義を演じるのは単純で簡単だが、悪役を演じるには工夫が必要だから、役作りがとても楽しい」とも言っている。しかし何かのドラマでは、さすがに嫌気がさして、もう少し優しいキャラに書き直してくれないかと、脚本家に頼んだらしい。彼の悪は、個人的な悪ではなく、制度や役職の中で、決められた役割を果たす公人であり、社会の構造そのものを体現する存在なので、まことに複雑で厄介なのであります。 

阪神銀行・頭取の大介も、自身の地位と保身を何よりも優先した。東洋銀行として日本指折りの大銀行へ生まれ変わる、その晴れの舞台の裏で、彼は身辺清算しようと、相子に別れを切り出す。応じようとしない相子に、これまで散々見下されてきた寧子が、静かに言い放つ。寧子の鋭い一撃でした。 


それより何より驚いたのは、佐橋総理夫人を演じていたのが、北林谷栄だったことですわ。田舎のばあちゃん役しか知らず、こんなに可愛らしい彼女を初めて見ました。
樹木希林のように、若い頃から老け役が多かったらしい。

そして2度ビックリしたのが、『となりのトトロ』のカンタのばあちゃんの声を、彼女が担当していたこと。3度目のビックリは、てっきり東北地方出身だと思っていたら、なんと!銀座生まれだったのですね。

プロフィール

自分の写真
Italy
映画やドラマが大好きな amore のレビュー日記

ランキング

人気ブログランキング にほんブログ村 映画ブログへ

アーカイブ

このブログを検索

タグ

QooQ